「平和」をめざして、ともに語りあい、学びあい、すすんでいこう
保育・子育てにたずさわるみなさんによびかけます
「平和」をめざして、ともに語りあい、学びあい、すすんでいこう
いま、世界中で残虐な戦争が行なわれています。
「もうこんなひどいことはやめてくれ」とイランの女性が叫び、家族全員が命を奪われたガザの子が「私には生きていく価値がないの」と涙しています。心がギュッとなり、なぜ戦争なんかするんだと、ほんとうにもどかしくなります。
現代の戦争は、国民全体を巻き込み、無数の命と家族を奪い、生活の基盤と地球環境に甚大な被害をもたらします。貴重な税金を膨大につぎ込んだ上に、害悪しかもたらしません。日本の政府や世論の一部にも、戦争や軍備拡大に前のめりの姿勢が目立っています。
戦争の問題はいま、私たち自身の身近な問題です。戦争を起こさないために何をしたらいいのかを落ち着いてしっかりと話し合う必要があります。そして、こんな時代のなかで大きな不安を感じている子どもたちとともに、平和とは何かを、日々の子育てや保育を通して学び、語り合うことが求められています。
一つの手掛かりとして「歴史」を振り返ってみましょう。
2度の世界大戦は、それまでとは桁違いの犠牲と被害をもたらしました。戦争を二度と起こしてはならないという世論が世界中で広がりました。「戦争は人道に対する犯罪」という国際法が確認され、そうした国際的な流れの中で日本国憲法には「戦争放棄と平和主義」の原則と、権力者の横暴を止めるために「国民主権」の原理が書き込まれました。
それだけではありません。戦争の背景にあったのは、今日と同じような「極端な格差」です。生きるすべが見つからないとき、その不満や怒りは、その根本原因ではなく、弱い者や差別されている者へ向かいやすくなります。戦後、各国の憲法に生存権や労働権が明記されたのは、貧困を減らし平等な社会を実現することこそ平和の礎と考えられたからです。
さらに「個人の尊厳」が憲法に明記されたのも、差別や分断をあおることが戦争に国民を動員する手段として使われたことへの反省だったのではないでしょうか。一人ひとりを一人の人間として尊重することを「リスペクト」といいますが、子どもたちの中に自己と他者への「リスペクト」を育むことは、平和な世界を築くためのもっとも根本的な条件です。
私たち一人ひとりが歴史に学んで主権者として声をあげ、労働権をはじめとする社会権の実現のために奮闘し、そして日々の生活の中で一人ひとりが互いに(そして自然にも)リスペクトする環境をつくる――そうした一つひとつの努力が、平和にまっすぐにつながっています。と同時に、私たち自身が身近なところから、「平和」について、落ち着いて率直に話し合う機会をつくっていく努力をしたいものです。子どもたちとともに、平和な世界の実現にむかってすすんでいきましょう。
2026年3月 全国保育団体連絡会会長 大宮勇雄