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【09.11.12】事業仕分けにあたっての見解

事業仕分けにあたっての見解
保育所運営費負担金・延長保育事業の
維持・改善こそ保育関係者の願いです


2009年11月12日

全国保育団体連絡会
〒166-0001 杉並区阿佐谷北3-36-20


 全国保育団体連絡会は、保育所に関係する保護者、保育者、研究者等が集う団体です。すべての子どもに豊かな保育が保障されることを願って活動しています。
 私たちは、今回の行政刷新会議の事業仕分けの対象になっている、保育所運営費負担金や延長保育事業は、全国の民間保育所の運営を支えるために不可欠の補助・負担金であり、事業仕分けにおける短時間の論議で廃止・削減等の拙速な結論が下されることのないよう強く要望するものです。

国庫負担・補助金の維持・改善で保育の充実を

 保育所は、子育てを支える住民生活に不可欠な福祉施設であり、保育所の整備、諸機能の拡充は、地域住民の切実な願いです。
 事業仕分けの対象となった保育所運営費負担金や延長保育事業は、全国的な保育水準を確保するために機能してきた補助金であり、その廃止・削減は、保育における地域格差を拡大させ、特に財政力の弱い自治体における保育供給量の縮小とともに質の低下、保護者負担の一層の増大をもたらします。
 事実、自公政権下で実施された、公立保育所分の運営費の一般財源化(2004年度)等の影響で、公立保育所の施設数・入所児童数の減少*1、職員の非正規化*2が進んでしまいました。そのような施策の後退を再現してはなりません。
 地方への財源保障を充分に行えば問題は起きないという意見もありますが、地方財政は非常に逼迫しており税源移譲を行ったとしても保育施策に使われる保障はありません。何よりも、幼い子どもの命を守りその成長を保障するためには、時々の自治体の状況に左右されないよう財政的な下支えを国として行うことがどうしても必要です。
 保育所運営費負担金や延長保育事業費は、まさに子どもの生存権と家族の生活を守るために重要な役割を果たしています。しかし、その内容は決して十分ではなく、例えば保育の質を決定づける保育士の労働条件を低くせざるを得ない状況にあります。新政権でもその改善を課題としている介護労働者とあまり差がなく、全産業の平均と比べても大変低い水準です。保育所に求められる諸機能を向上させるためには、保育所運営費負担金等を維持しつつ、その改善を図ることこそ求められています。

実態を踏まえた慎重な論議を

 かつて1950年代初頭において保育所運営費が地方負担化(地方財政平衡交付金)されたものの、地方の保育行政が大混乱し国庫負担金制度に戻されたことがあります。拙速な転換は混乱のもとです。私たちは保育現場の意見を踏まえるなど地方の保育行政の実態を検証した上で、そのあり方について慎重な論議を行うことを求めます。
 保育所運営費負担金等の廃止・削減は新政権の政策合意事項である「保育所の増設を図り、質の高い保育の確保、待機児童の解消につとめる」に反する状況を地域にもたらしてしまうでしょう。
 私たちは子どもの権利最優先の保育、子育て支援策の実現を切実に願っています。その立場から、国に対し現行制度の改善による保育・子育て支援施策の拡充、予算の大幅増額、地方自治体や保護者への十分な配慮を求めるものです。

*1 1990年代後半以降需要急増期であるにもかかわらず公立保育所数は年間100園程度減少してきたが、一般財源化された2004年度以降は毎年200園を超える減少をつづけている。入所児童数も、2004年度から減少しはじめ、2006・2007年度の前年度からの減少数はともに2万5千人を超える。

*2 日本自治体労働組合総連合による「保育行財政に関する市町村アンケート」(2009.6)では、通常保育に従事する公立保育所の保育士のうち非正規雇用者の割合は42.5%であり、非正規保育士の割合が6割を超える市町村が27.5%あった。


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