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【08.05.09】保育施策の拡充に関する緊急要望

「新待機児童ゼロ作戦」にかかわる
保育施策の拡充に関する緊急要望


 厚生労働大臣は2月27日に、保育と学童保育(放課後児童クラブ)事業の量的拡大に関する10年後の目標と3年間の集中重点期間設定をうたった「新待機児童ゼロ作戦」を公表しました。
 私たちはこれまで、保育需要が急増する状況のもとで、保育を必要とするすべての子どもたちに行きとどいた保育が保障されるよう、保育所の条件整備とあわせて一時保育などの充実について、国の積極的な対応を求めてきました。
 今回、潜在的な保育需要に応えることも含めて、政府が保育の量的・質的拡充を図ることを方針としたことを評価するとともに、施策の積極的推進を求めるものです。
 ついては、「新待機児童ゼロ作戦」実施にあたり、以下の点について要望するものです。


1.保育の拡充は、認可保育所の整備を中心とすること。
 保育利用希望者の多くが求めているのは保育所保育です。この点を踏まえ、保育施策の量的拡大は、認可保育所の拡充を基本に施策を実施するべきです※。そのためにも現行保育制度を堅持し、国として保育所整備計画を立てることを求めます。

※認可定員の下限(20人)を見直して小規模保育所の設置を可能とする措置をとったりしながら新園(分園)の設置や既存保育所の増改築の促進を図るなど、従来の枠にとらわれずあらゆる策を実施すべきです。


2.量拡大によって質低下を招かないように、劣悪な最低基準の抜本的改善、ならびに保育制度の拡充を図ること。
 これまでの待機児童対策は、「最小コストで最大の受け入れ」を図るとして、質維持という点では十分な対策とはいえませんでした。また、規制改革会議など政府内で議論されている最低基準にかかわる規制緩和も、子どもの保育環境を大きく悪化させるものです。保育所を利用する子どもや保護者・国民の願いは保育の質を無視した量拡大ではありません。子どもの生命を守り、その発達条件を保障するために、地域の各施設・事業で諸条件が確保できるよう※、最低基準の抜本的改善や財政措置など国としての積極的な対応を求めます。

※保育の質確保のためには、保育を担う職員の専門性を保障するに足る処遇条件の確保・向上も不可欠です。安価さや効率性を追求するあまり、保育者の資格要件を緩和したり非正規化を助長するような策をとるべきではありません。


3.家庭的保育の制度化にあたっては、家庭的保育の諸課題を解決するに足る条件整備を図ること。
 量的拡大を急ぐあまり安価な形での制度化に反対します。質確保のためにも、保育者の資格要件を緩和せず、研修の充実、可能な限り複数で保育できるよう補助者の配置等、必要な措置をとるべきです。また、家庭的保育の趣旨を踏まえれば、受け入れ可能な子ども数の上限は1か所5人程度にとどめるなど、大規模化を認めるべきではありません。
 さらに、今回の児童福祉法一部改正によって、保育所整備の遅滞を招くことがないよう、必要な措置をとることを求めます。


4.国として必要な財政確保を図ること。その際に、地方自治体・保護者に対して十分配慮した措置をとること。
 質を確保しながら保育の供給量を増大させるには、公費の投入増は不可欠です。地方自治体の財政難は公立保育所運営費や施設整備費の一般財源化などにより非常に深刻になっています。保育の実施主体である地方自治体が、積極的に施策を実施できるよう特別の財政措置をとるべきです。さらに、施策拡充と引き替えに保護者に負担増を強いるべきではありません。次世代育成支援の理念を踏まえれば保護者負担の軽減こそ求められます。
 こうした事柄を考慮して、国として必要な財政を確保することを求めます。

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