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【06.12.01】保育制度改悪許すな11.23大集会基調報告

2006年11月23日 日比谷野外音楽堂
守ろう、子どもの権利! 保育の公的責任! 保育制度改悪許すな 11.23大集会資料

<主催>保育制度改悪許すな11.23大集会実行委員会
      (全国福祉保育労働組合 全国保育団体連絡会 全国無認可保育所連絡協議会
      日本自治体労働組合総連合)
<連絡先>全国保育団体連絡会(杉並区阿佐谷北3-36-20 TEL03-3339-3901)

保育をめぐる情勢と保育運動の課題

 私たちは子どもの権利、保育制度と保育の公的責任を守り、豊かな保育の実現を求めて、全国各地からここに集いました。

1.構造改革は保育をどこへ導くのか−格差社会の広がり

 小泉内閣の後を受けた安倍新内閣は、構造改革路線を引き継ぐだけでなく、任期中に憲法改悪を行うと明言し、閣僚による核武装発言など、「戦争をする国」へ向かう動きをいっそう強めています。
 いじめによる自殺、児童虐待の増加など子どもたちが安心して生きていくことができない現実を、教育基本法「改正」に結びつけ、幼児期から大学まで教育の国家統制を徹底しながら、一部エリートの養成と多数のもの言わぬ国民づくりをねらい、子ども不在の教育「改革」をすすようとしています。
 また、「官から民へ」「民ができることは民に」の構造改革路線による社会保障制度改悪、規制緩和・市場化の進展は国民生活を直撃し、とりわけ子どもや高齢者、障害者の生きる権利を脅かしています。格差と貧困の広がりは社会問題となっており、国民の権利としての福祉・保育・教育とその公的責任のあり方が問われています。

2.公的保育制度拡充は世界の流れ

 世界では1990年に国連が採択した「子どもの権利条約」が各国で批准され、「子どもの最善の利益」最優先の考え方が広がっています。OECD加盟国中12カ国の幼児教育に関する調査報告(2001年)によれば、各国では質の高い保育を受けることは子どもの権利であることが法律に明記され、保育料の無償化がすすみ、日本のように市場原理の政策をすすめる国は少数派であることが明かにされています。さらに国連子どもの権利委員会が昨年9月に採択した一般的意見7号では、「子どもは生まれた瞬間から権利の保有者であり、社会的主体である」としたうえで、その権利保障のために、親への支援の必要性や、国には良質な保育サービスを提供する義務があることを明確に打ち出しました。
 日本では、児童虐待の増加、孤立した子育てなど子育て困難や、仕事と子育ての両立の困難などが広がっており、働く父母だけでなく、家庭で子育てする父母からも保育所に大きな期待が寄せられています。急激な少子化が進行するなか、保育・子育て支援の拡充を求める国民世論を背景に、国も少子化対策や次世代育成支援施策をすすめざるをえなくなっています。

3.公的保育制度解体の戦後最大の危機

 しかし、国民の切実な願いに反して、国や自治体は予算を減らし、保育を切り捨てるだけでなく、世界に誇るべき公的保育制度を根底から崩す政策をすすめようとしています。
 一つは、公的保育制度の土台である公立保育所の廃止・民営化問題です。小さな政府をめざして公務員削減やあらゆる分野で公務公共サービスの民間開放がすすめられるなか、保育所でも市場化、企業参入促進のための公立保育所民営化が全国に広がっています。「三位一体改革」による補助金削減=公立保育所運営費の一般財源化や地方財政の圧縮もこうした流れに拍車をかけています。
 二つは、10月1日から実施された「認定こども園」を梃子にした保育制度崩しです。保育所に幼稚園機能を、幼稚園に保育所機能を附加するとした「認定こども園」は、条件整備や特別な予算措置も行わず、幼稚園や保育所がそれぞれ果たしてきた役割を無視し、安上がりな保育・幼児教育施策、待機児対策としてすすめられようとしています。職員配置や給食調理室の設置義務などの水準を低下させた認定基準(国の指針)、直接入所方式や保育料の自由設定方式の導入、認可外保育施設の容認は、児童福祉法24条を形骸化し、保育の市場化を推進するものです。
 三つは、規制改革・民間開放推進会議による保育制度崩しです。同会議は7月の中間答申で保育所への企業参入促進を課題に、@認可基準(最低基準)の見直し=切り下げ、A認可保育所への直接入所方式導入、利用者への直接補助方式の導入、B育児保険制度の導入を提案しています。@については2006年度中の措置を、Aについては「認定こども園」の活用もふまえ2007年度中に結論を得るように要求しており、12月の最終答申に盛り込むことをねらっています。また経済財政諮問会議でも「保育市場の再設計」を社会保障改革の重点課題に掲げ、公的保育制度の3つの柱、@市町村の保育実施責任、A保育所の保育条件(最低基準)確保に関する公的責任、B保育所運営費の公的負担責任を一気に崩そうとしています。

4.保育制度を守る運動の広がり

 しかし、こうした厳しい情勢ですが、全国各地で学習を深めながら、子どもの権利を守り、保育制度を守り、拡充することを求める運動もすすみつつあります。保護者と保育者の手つなぎ、公立保育所関係者と民間保育所関係者が共同した民営化反対運動など、よりよい保育を求める草の根からの運動が広がっています。民営化裁判では、横浜、大東で安易な民営化を違法とする貴重な判決を得ることができました。
 また、認定こども園の認定基準を定める都道府県に対する運動では、保育所関係者だけでなく幼稚園関係者も含め、子どもにかかわる幅広い共同の運動が全国で広がっています。こうした動きは私たちがめざす、すべての子どもの発達を保障する保育・幼児教育の制度、内容の充実を求めていく国民世論形成の土台となるものです。
 いま、保育だけでなく医療や介護、障害者施策の分野においても、ごり押しされる規制緩和、安上がりな民間活用策など市場化をめざす構造改革の問題点や矛盾が噴出し、幅広い福祉関係者が立ち上がっています。権利としての保育、公的責任による保育を求める運動の条件は広がっているのです。困難は多くとも、私たちは、何よりも子どもの最善の利益を保障する立場で、すべての子どもにゆきとどいた保育・教育を求め、子どもを大切にする世論を束ねながら、幅広い人たちを結び合い、子どもを守り、保育制度を守り、発展させる運動を広げていきましょう。

5.運動の課題

@500万の国会請願署名をめざそう
A規制改革・民間開放推進会議等がすすめる保育制度「改悪」を許さない要請ハガキ、ファックス、メール運動を全都道府県ですすめよう
B認定こども園や保育の実施責任にかかわって公的責任の拡充を求める自治体への運動をすすめよう
C公立保育所の廃止・民営化を許さず、自治体に対し切実な要求実現を求める運動をすすめよう
D学習を力に手つなぎをすすめ、保育運動の裾野を広げよう
E緊迫した情勢に機敏に対応し、公的保育制度解体を許さない創意あふれる運動をすすめよう

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